当院では保湿剤ヘパリン類似物質については以下の理由から限定して処方しています。
(1)「風邪受診のついでに処方ください」など、湿疹の治療の一環以外で処方することを保険診療で行わないように厚生局から指導されていて当院ではそれを遵守しております。
(2)ヘパリン類似物質は本来「しもやけ」や「ケロイド(盛り上がった傷跡)」を治療する薬として開発され、血液を固まりにくくしてサラサラにすることにより血流を改善する作用があります。
この薬の注意書きに出血しやすい病気の場合には禁忌(使用禁止)とされています(添付文書の例)。この薬品の詳しい説明書を見るとヒトや、イヌ・ウサギを使った動物実験でこの薬を塗ると血液の凝固時間が延びたデータの記載があります。
正常の方に使った場合には血液を固める働きへの影響はあっても限定的と考えられますが、全身に毎日塗った場合にどうなるかわからず使用は慎重を期すべきと判断されます。
以上から当院では保湿剤としてより安全な白色ワセリン(添付文書)/プロペトを基本的に処方しています。
ヘパリン類似物質を処方されている場合には湿疹の治療の一環で治療が行われており、その中で処方されることが望ましく、他院の受診のついでにもらうのではなく、処方されている病院で治療の経過を診てもらいながら処方してもらうことをお勧めいたします。